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『ゴーストスクワッド』ノーメイクスインタビュー

 残虐な犯罪者により理不尽に命を奪われた3人の少女。いま、彼女たちの幽霊と霊感少女が「幽霊復讐部隊=ゴーストスクワッド」を結成して犯罪者に復讐の闘いを挑む!
 『ゴーストスクワッド』は「女優アイドル」として活躍するグループ・ノーメイクスの主演第2作。実際にあった殺人事件をベースに犯罪被害者の哀しみを描く社会派作品であり、アクションや百合要素なども盛り込まれた青春ホラーとなっています。
 ノーメイクスをプロデュースする井口昇監督の強い想いが詰まったこの作品で、監督の想いに応え「死んじゃった青春」を全力で表現したノーメイクス。『ゴーストスクワッド』というひとつの闘いを経験したノーメイクスにお話をうかがいました。

ノーメイクスプロフィール

井口昇監督が“映画界のアイドルを発掘し育てていく”趣旨のもと2014年におこなった「アイドル映画 夢工場」オーディション合格者5人で結成。主演映画制作に向け活動するとともに、2015年にCDデビューしライブなどのアイドル活動もおこなう。2016年3月、井口監督がメガホンをとった初主演映画『キネマ純情』が公開され話題となる。2016年7月に中村朝佳さん、2017年12月に洪潤梨(ほん・ゆに)さんが卒業し、現在は3人体制

上埜すみれ(うえの・すみれ)さん(写真左):女優として映像作品や舞台で活動中。映画出演作に『あの娘が海辺で踊ってる』(2012年/山戸結希監督)など

神門実里(みかど・みのり)さん(写真中央):女優のほかソロアイドルとしても活動中。映画出演作に『牙狼〈GARO〉神ノ牙-KAMINOKIBA-』(2017年/雨宮慶太監督)など

柳杏奈(やなぎ・あんな)さん(写真右):女優のほかロックDJとしても活動。映画出演作に『TOO YOUNG TO DIE! 若くして死ぬ』(2016年/宮藤官九郎監督)など

「生半可な気持ちでやってはいけないなと思いました」(上埜)

―― 『ゴーストスクワッド』は実在の事件がモデルという、かなり社会派の作品にもなっていますが、内容を聞いたときにはみなさんはどうお感じになりましたか?

上埜:そうですね、実際にあった昭和の殺人事件を元にしていて「あなたはこの事件の被害者をベースにしています」というのを監督に先に告げられていたので、そこを調べていけば行くほど心が重くなりましたし、実際に事件が起きた時代を生きていてそのときの感覚を持っている方たちも観ると考えると、責任を持って演じないといけないなというか、生半可な気持ちでやってはいけないなと思いました。

神門:もちろん内容的にも、ちょうど台本をいただいたころに女の子が殺されていまう事件が起きてしまったりもしてたので、余計にズシンと来るものがあったんです。それと同時に、私たちも女優としてどんどん成長していくというグループである中で、監督から挑戦状的なかたちで課題を突きつけられているような気もしたんです。私は前作の『キネマ純情』(2016年)のときには、けっこう受け身のお芝居が多かったんですけど、今回は「自分からガンガン行くような役がいいです!」って自分から監督にバーンと言って、監督が当て書きする中でもけっこう積極的な役に書いてくださったんですね。そういう意味では、自分から「こうしてください」と言った代わりに監督から来た課題を、いかに来た以上のものを出し切るかみたいなことを、自分的には台本を読んで感じました。

柳:私は4人(※昨年12月に卒業した洪潤梨さんを含む)の中で唯一生きている人間の役で、ほかの3人が事件の被害者ということで、これは演じきるのは大変だと思いつつも、3人の被害者の想いを役に乗せて演じなきゃなってすごい思って、作品も社会派ですし、元となった事件の被害者の方のご家族も実際にいらっしゃるので、そこを大切にしながら演じないとなって思って、よりいっそう気合いを入れて、ずっと暗い気持ちをキープしつつ挑んだ作品でしたね。

―― 神門さんは役についてご自分から提案もされていたということですが、前作の『キネマ純情』のあとに「次はこういう役をやりたいです」ということはみなさん監督とお話をする機会があったのですか?

上埜:(ふたりに)あったよね? トークショーとかで監督から「もし次やるとすればどんな役がやりたい?」ということをけっこう振られていたので、そのときにチョコチョコと、たとえばみのりん(神門さん)は「自分から積極的に動く役がいい」とか、私はけっこう弱い女の人というか母性的な役をいただくことが多いので「自分から闘う強い女の人をやってみたい」って言ったことがあったり。

神門:「闘う悪いお姉さんをやりたい」って言ってたよね(笑)。

上埜:そうそう(笑)。あむ(柳さん)もね。

柳:そう、前回は心が男の子の役だったので(※『キネマ純情』では性同一障害の女子高生役)、今度は女の子の役をやりたいと監督には言って。

―― そして上埜さんと神門さんは幽霊役を演じているわけですが、幽霊の役を演じるというのはどんな感じなのでしょうか?

『ゴーストスクワッド』スチール

『ゴーストスクワッド』より。上埜すみれさん演じるケイコ、神門実里さん演じるアカリ、洪潤梨さん演じるヨシエの幽霊少女3人と、柳杏奈さん演じる霊感少女のリカ(左より)

神門:まあ、一応アイドル映画として撮っている中で、ほぼ全編白塗りっていうのはまずそこが斬新すぎるなって思いました(笑)。でも、やっぱりなにか実際の事件を描いた作品って、普通は遺族の役か加害者しかいないから、死んじゃった側を演じるというのは、ね。

上埜:事件にあった当事者が出てくるというのはあんまりないから。

神門:そういう意味では、死んじゃった側というのはどんななんだろうと、もちろん想像もしました。

上埜:演じるときって自分の体験からいろいろ作ることが多いと思うんですけど、もちろん死んだことはないしね(笑)。でも、普通の人間よりも伝えたいことがあるから幽霊になって出てくるわけなので。

神門:私は、逆に幽霊だけど幽霊って感じさせないような「私は生きているぞ、いま」みたいな感じを出しながら演じようかなみたいに思いながら、強い想いでやっていました。

上埜:見せ方として、体の変化とかはあったかなと思います。まばたきをあまりしないとか、人間らしい小さな動きをあまりしないようにして、立っているだけとか、首とかも動かさないとか、そういう見せ方の変化はあったと思います。

―― その見せ方については、監督のほうからアドバイスなどがあったのでしょうか?

上埜:特には言われていないですね。

神門:でも、私は犬になるところがあるんですけど、犬になっているときの動きは監督からメチャクチャ指導を受けて練習しました、クランクインの前に(笑)。

―― 柳さんは先ほどお話があったように唯一生きている人間の役ですが、ひとり生きてる役というのはいかがでした?

柳:そうですね、私は小さいころに霊感があって、今回の役はその感覚に近いなって台本をいただいたときに思って、けっこうすんなり入れました。でも、私が演じたリカちゃんはあまり明るくはなくて暗い気持ちがずっと続いていて、たぶんほかの3人のほうが気持ち的には人間らしいというか、生きたいという気持ちが強いんです。リカはその3人を見て「この子たちはなんで死ななきゃいけなかったのか」みたいなところから生きる希望をもらえるのかなと思って、そういうところを気をつけながら役は作っていました。

―― 小さいころ霊感があったというのは、ちょっと詳しく聞かせていただけますか?

柳:中学生くらいまで、私は幽霊が見えて普通だったんです。だから「幽霊がいて怖い」じゃなくて「いるのが普通」で、映画のリカはそれが普通じゃないんですけど。

神門:手を握ると守護霊とか見えていたんだよね?

柳:あ、そうそう。守護霊と話をしたりとか、小さいころはしていたんです。

―― それは井口監督にはお話されていたのでしょうか?

柳:監督は知らなくって、たまたまリンクしたみたいです。それで、台本をいただいたときにお話したら、監督が「ああ、ぼくの勘は当たっていたんだ! 直感でこの役をあむにやってほしいと思ったんだよ」って、驚いてました。

「私はつねに困っているという感じでやっていましたね(笑)」(柳)

―― みなさんご自分の役について「さすが井口監督」みたいに思われたことってありますか?

上埜:やっぱり監督はこういう作品を作るのが好きなんだって思ったのは、まず女の子同士のキスが多いっていうのと(笑)。

神門・柳:フフ(笑)。

上埜:あと、幽霊ものだけど手にガジェットが生えてきたりとか、犬が生えてきてそれで闘ったりとか、不思議な要素は井口イズムだなというふうには感じました。

神門:私はクラシックバレエを踊るシーンがあって、それは私が20年くらいずっとバレエをやっていたということもあって入れていただいたシーンでもあるんですけど、殺される直前に踊らされるっていうのは、すごく残虐性も増すし、でもだからこそすごい強い想いを感じるシーンでもあったと思うので、そういうところはすごく活かしていただいたシーンだなと思いました。

柳:私は普段、普通にしているつもりでもふとした瞬間に物寂しい目をしているらしくて、今回「その目をしてほしい!」ってすごく言われました。キリッとした目じゃなくて、物寂しそうな、ちょっと翳のある女の子をやってほしいと言われて、井口さんはすごくよく観ているなあって、私もすごく感じました。

―― ちょっとここまでの話の流れだとすごく重い映画っぽく思われそうな雰囲気になっていますが(笑)、

一同:アハハ(笑)。

―― 実際は上埜さんがおっしゃったようにキスシーンもあるし、笑える部分やアクションもありますよね。シリアスな部分とそういうエンターテイメントな部分は、切り替えて演じられるのでしょうか?

神門:私はけっこう切り替えてないかもしれない。そこが楽しければ楽しく見えるほど、残虐なシーンが「うわーっ!」って思えるかなと思ったので、まさかそういうシーンがあとで来るとは思わないだろうなくらいの感じで、けっこうキャンキャンやっていましたね(笑)。

上埜:なんていうか、生前のシーンが残虐である一方で、死んでからは凄惨なシーンというよりは「復讐するぞ」という闘志に燃えているので、死んだあとのシーンは、けっこう私はアッパーでしたね。死ぬ前はダウナーという感じで(笑)。そこの生死の差で切り替えていたかと思います。

柳:私は今回はけっこう受け役だったので、みんなが暴れていて、私はつねに困っているという感じでやっていましたね、この映画では(笑)。

神門:たしかに(笑)。私の水着を間近で見させられたりとか(笑)。

柳:そう、みのりんが水着になっているところをポカーンと見るところがあって、井口さんから「あたたかい目で見るように」って言われて、すごい演出だった(笑)。

神門:面白かったよね、あれ(笑)。

―― 水着のシーンのお話が出たところで、みなさんの気に入っているシーンというとどこでしょう?

『ゴーストスクワッド』スチール

『ゴーストスクワッド』より。アカリ(右)の手は犬に、ケイコ(中央)の手は肉ハンマーに、そしてなぜか白塗りのリカ(右からふたり目)の手には? それを見つめる中村朝佳さん演じるナオミ(左)と、ヨシエ

上埜:私はやっぱり復讐するシーンが一番好きなので、手に生えたハンマーで自分のことを襲った犯人の股間を殴りまくるシーンが一番気に入っています(笑)。もちろん、殺されるシーンもすごく気合いを入れていたんですけど、復讐するシーンでどれだけ高揚感を持っていけるかがポイントなのかなと思っていたので、一番気合いを入れて臨んだシーンでしたし、一番思い入れがあります。あと、すごく楽しかったです(笑)。

柳:私は、最後のシーンは自分でも観ていてウルって来て、みんないい顔をしているなって、すごく好きなシーンですね。

神門:私はやっぱり自分のおしりかな、水着のシーンの(笑)。かわいく撮ってもらえてよかったなって思いました(笑)。

柳:別の取材のときに井口さんに聞いたんですけど、この映画の原点があのシーンだって。

神門:「幽霊役の子が水着で水浴びしているシーンを撮りたい!」って。ほんとかどうかはちょっと(笑)。

上埜:そこが着想点で「こんなかわいいおしりを持った子が殺されちゃうんだという哀しさを描きたい!」というようなことを言っていて。

柳:その取材のとき初めて知りました(笑)。

神門:でも、あそこ難しかったんですよ。顔は白塗りだったけど体は普通に肌色だったから、どうしようと思って、しかも水浴びしながら見られつつみたいな。でも、がんばりました(笑)。

―― その白塗りとか、上埜さんは手がハンマーだったり、神門さんも手が犬になっていたり、特殊メイク的なこともやっていらっしゃいますけど、それは体験してみていかがでした?

上埜・神門:大変だった(笑)。

神門:私のワンちゃんが、ベロが別なんですよ。で、自分でセリフ喋りながら、中指にベロをくっつけて、ここ(手首から前腕にかけて)に犬がついていて、ベロと犬を違うように動かしながら自分はセリフ喋ったりとか、けっこう真面目なこととか言わなきゃならなくて、最初のうちはそれができなかったけど後半どんどん上手になって(笑)。そういう意味でも大変でしたね。重いし、すごい。

上埜:うん、衣裳がすごくみんな重いんで。

柳:そっかあ。

神門:あれでけっこう暴れていたから。

上埜:やっぱり、映画って普通はナチュラルな芝居を求められると思うんですけど、私たちの役自体が全然ナチュラルではないかけ離れた存在なので(笑)、かけ離れた演技をしていいのか、でも一応映画だから会話とかは日常っぽくやったほうがいいのかなとか、真ん中を探るのが難しかったです。

―― そういう中で柳さんはわりと普通の役ですけど、逆にほかの役が羨ましかったりはしませんでしたか?(笑)

柳:羨ましかったですし、だんだん白塗りしていない自分のほうがおかしいんじゃないかって(笑)。

神門:そう、言いはじめて(笑)。

柳:みんな美白に見えてきて、すごい不思議な感覚に陥りました。ずっと受けだったから、受けの寂しさってこういうのがあるんだなってすごい思いましたね(笑)。

「ノーメイクスならでは、井口監督ならではの作品に出させていただいてるなって」(神門)

―― みなさんは、2014年に井口昇監督が立ち上げた“映画界のアイドルを発掘し育てていく”プロジェクトのオーディションに合格してノーメイクスを結成されたわけですが、もともとオーディションに応募した動機はなんだったのでしょう?

上埜:私は、もともと70年代80年代のアイドル映画が好きなんです。大林宣彦監督が作られたり、薬師丸ひろ子さんや原田知世さんが起用されたりしていたアイドル映画が好きなので、それの復興を目指すプロジェクトという企画を読んで、もともと自分はアイドルになるつもりではなくて女優としてやっていきたいと思っていたんですけど、そういう映画に出られるならやってみたいなと思って応募しました。

神門:私はとにかく映画に出たくて、それこそかたっぱしからオーディション受けていたんです(笑)。でも、特に気合いを入れて応募したのは、応募条件で「女の子同士のキスシーンが演じられる方」というのが必須だったので、それがすごく面白いなと思って、自分も女の子をテーマにした映画がものすごく好きで、もちろん井口監督のお名前も存じ上げていましたし、だから「受けよう!」って思いました。動機は井口監督のお名前と女の子同士のキスシーンというところですね(笑)。

柳:私も似ているんですけど、ほんとにお芝居がやりたくて映画が好きだったので、かたっぱしから探していたところに井口監督が次回作の主演女優を募集しているということで「これは受けるしかない」って。それでそのとき所属していた事務所のマネージャーに「受けていいですか?」って聞いたら、そのマネージャーがゾンビ映画とかが好きで井口さんの映画もけっこう観ていて「ああ、俺『片腕マシンガール』(2007年)好きなんだ! ぜひ受けてきなさい」ということで、あと私の背が高い感じも「たぶん井口さんに気に入られると思うから」って言われて。

上埜:そうなんだ(笑)。

神門:戦略的じゃない(笑)。

柳:「がんばってきなさい!」と言われて、私もノリノリで「女の子とキスくらいしてやる!」という気持ちで受けました(笑)。

―― みなさんは、オーディションで選ばれた時点では現在のようなノーメイクスの活動は予想されていました?

インタビュー写真

ポーズを決めるノーメイクス。左より、上埜すみれさん、柳杏奈さん、神門実里さん(※クリックで拡大します)

一同:まったく!(笑)

柳:私、ほんとにダンスができなくて。

神門:アハハ、ポンコツなんです(笑)。

上埜:私も「踊りってなに?」って感じで。

柳:でも、すーちゃん(上埜さん)は日舞が踊れるから。

上埜:でも、逆に日舞をずっとやっていたので、ダンスのやり方がほんとにわからなかったです。

神門:なんなら私もバレエはできるけどほんとはダンス経験者ではないから、歌とかも全然やったないし。

上埜:私はアイドル自体も全然詳しくなかったし。

柳:私もバンドが好きだったので「え、アイドル?」ってよくわからなくて。

神門:私はわりとアイドルも好きなんですけど、この“アイドル戦国時代”に珍しい、誰もアイドルになりたくなかったのに気づいたらなっていたパターンっていう(笑)。

柳:歌とか絶対に歌えないと思ってた。

神門:CD出すとか誰も思ってなかったもん。

上埜:思ってなかった。ここまで続くともね、思ってなかったですけど。(スタッフから笑い)

柳:みんな「映画を撮るために集まったんだー!」って言っていたら(笑)。

神門:どんどんライブしたりとかね(笑)。ほんとに、ノーメイクスじゃなくちゃできない経験みたいなのをメチャクチャさせていただきましたね。やっぱり“普通のアイドルさん”と言うと語弊があるかもしれないんですが、そういうアイドルの方たちが撮るアイドル映画とは味が全然違うものだと思うし、だからといって「女優です!」って感じでもない、ちゃんとアイドル映画として撮っていただいて、ほんとにノーメイクスならでは、井口監督ならではの作品に出させていただいてるなって気がします。

―― いま「ノーメイクスならでは」というお話も出ましたが、みなさんが「こういうところがノーメイクスならでは」だと感じるところがあれば教えてください。

上埜:ファン層もけっこうね、年齢も上で映画好きの方が多いですね。

神門:だって『ブレードランナー』(1982年・米/リドリー・スコット監督)の話が通じないとウチらの曲はなんにも面白くないもんね(笑)。(※ノーメイクスのセカンドシングル曲「2つで充分デス」は『ブレードランナー』の有名なシーンにインスパイアされている)

上埜:そうそう(笑)。

柳:やっぱり、映画祭とかに呼んでいただいたときに、舞台あいさつのほかにもライブができるって強いな、楽しいなと思って。

上埜:たしかに。

柳:それで私たちは映画の話も好きなのでできるし、そこは面白いな、なかなかほかにはないなと思って、楽しくやらせてもらっています。

神門:あと、たぶん個々がこんなに自由に活動しているグループってないと思うんです。ノーメイクスとしてはもちろん一緒にやっているんですけど、それ以外の活動は全員自由なので、(手で上埜さんのほうを示して)舞台やるとか、(柳さんのほうを示して)DJやるとか、私はソロでもアイドルやったりお芝居もやったり、そういう意味で全員がバラバラのフィールドでやっていて、ノーメイクスとしてアイドルとして女優としてやるっていう多様性みたいなのは、ここでしかできないなっていうふうに思います。

ノーメイクスで海外に行きたい!

―― いまのお話とつながるんですけど、ノーメイクスだからできる今後やってみたいことはありますか?

(一同、ちょっと考えて)

柳:……海外の映画祭とかには乗り込みたいですね(笑)。

上埜:行きたいね、海外。

神門:行きたーい!

柳:やっぱり、井口さんの作品は海外で人気があるじゃないですか。今回の『ゴーストスクワッド』は武器とかも派手だし衣裳も面白いし、ぜひ海外の人に観ていただいて、そこでライブもするみたいなことは野望としてはやりたいと思います。

上埜:日本のアイドルもだんだん海外で注目されるようになっているので、その波に乗じて(笑)。海外で上映とか公演ができたらいいなと思っています。

神門:私は“いい入り口”みたいなものになったらいいなといっつも思っていて、井口監督が好きな方って、すごく映画が好きな方やコアな映画が好きな方が多いと思いますし、私たちが普段やっているアイドル活動はアイドルがすごく好きな方に観てもらう機会が多いので、アイドルが好きな方に映画も観てもらうきっかけだったりとか、映画が好きな方にアイドルが歌っている姿とかを観てもらう、両方を混ぜられるというか、お互い影響し合えるきっかけになったらいいなと個人的には思ってます。

―― 今回の取材は井口昇監督がいらっしゃらないので、あえてご本人がいないところでお聞きしたいんですけど、みなさんから見た井口監督ってどんな方ですか?(笑)

インタビュー写真

取材中のノーメイクスの3人。左より、上埜すみれさん、神門実里さん、柳杏奈さん

一同:あー。

神門:女の子!

上埜:女の子。それから、ぬいぐるみ? ジッパーのついたぬいぐるみ。

神門:リラックマみたいな(笑)。

柳:差し入れがいつもおいしくてかわいい(笑)。

上埜・神門:そう!

上埜:ハート型のチョコとか(笑)。

神門:一緒にいても女子会みたいな感じで、やっぱりなんか、女の子の心を持っているなあってすごく思います。

上埜・柳:うんうん。

神門:でも一方ですごい強い部分もあるんですけど。……なにかすごい繊細だなって思います。繊細だし、お客さんのことをすごく考えていらっしゃったりとか、でも撮影現場とかだとけっこう眼光鋭い感じ?

柳:素早いしね。カットを次々と撮っていくし、決めるのも早いし。

上埜:一見ちょっとMっぽいなと思いきや、撮影現場だとすごいSだったりとか、SとMとどっちも兼ね備えている感じですね(笑)。

神門:そう!(笑)

柳:あと、やっぱり役者の一面もすごくある方だなって思って、CDで「大傑作」という『ゴーストスクワッド』の応援歌を一緒に出したので、そのとき井口さんとノーメイクスが一緒にステージに立つんですけど、やっぱり井口さんは独特な動きをされるので、見せ方がうまいなあと思って。ダンスはやっぱり上手い下手じゃなくて見せ方だなって。

神門:存在感がすごい!

柳:キャラクターとしての立っている感じは、井口さんは役者としてもすごいなって改めて思ったことですね。

―― 今回の『ゴーストスクワッド』は、井口監督ご自身もすごく思い入れのある作品だそうですが、撮影中の井口監督は現場ではどういうふうに見えていました?

一同:撮影中……。

神門:今回はけっこう厳し目だったと監督ご本人もおっしゃっていたんですけど、私もけっこう厳し目という感じはしました。私は自分が泣くシーンがあんまり上手にできたことがなくて、今回の泣きながら殺されるみたいなところを撮影に入る前からずうっと直接話したりメールだったりで相談していて、撮っている最中にも合間合間でアドバイスをいただいていたんですけど、そういう意味では今回は課題をたくさんくださったなっていうふうに思っています。

上埜:実際はどうかわからないんですけど、私は台本を読んでいる時点で「役者としてけっこう試されている部分がたくさんあるな」って感じていて、みんなに見せ場を用意していただいていて、みんなが役者として見せられるかどうかみたいな挑戦するシーンがいっぱいあったんですよね。だから、がんばらなきゃなっていうのは思いましたね。

柳:イン前は、ほんとにこの映画は私にかかっているってすごく言われて。台本を貰ったときほんとにセリフ量がすごすぎて、こんなこと言うのもあれなんですけど見たこともないセリフ量で、ずっと喋っているし香盤表もずっと○が付いてて、私は撮影中ずっと部屋に引きこもっていたんです。井口さんはその私を見てすごく優しく「あむならできるよ」って言ってくれたし、静かに見守ってくれている感じで、最後のほうのシーンのときに、なぜか私はセリフがうまく言えなくて(笑)、ほんとに言えなくて、井口さんに「どうしたらいいですか?」って相談したら「大丈夫、できるから!」って、そこは撮影プランを一緒に考えてくださって、すごい丁寧に撮ってもらって「ああ、厳しくも優しくもある監督だな」と改めて思いました。

―― それでは最後に『ゴーストスクワッド』のこんなところを観てほしいというアピールポイントをお願いします。

(誰から話すか目線で相談する3人)

柳:じゃあ、私から(笑)。私は今回改めて台本とかを読み返したり、作品を観て思ったのは、ちょっと元気がないときとか落ち込んでしまったときにこの映画を観ると、3人の幽霊の女の子プラス人間ががんばっている姿に元気がもらえる映画かなとすごい思ったんです。ちょっと元気がなかったりとか、つらいことがある方にぜひ観ていただいて、哀しくもあり、楽しくもあり、たくさん笑っていただけたらなと思います。

神門:私はなんだろうな……。1週間くらい大事な予定がない人に観てほしいですね、絶対に心にすごい衝撃を残すと思うので。面白いシーンとか、ちょっとふざけているシーンとかも含めてそう思うし、もちろん残虐なシーンはメチャクチャ残虐だと思いますし、そういう意味で「すっごい面白かった!」って言う人もいるかもしれないし「なんなんだこれは!」って怒っちゃう人もいるかもしれないんですけど「なにも残らない」ということが絶対にない映画だと思うんです。ほんとに衝撃を絶対に受けてもらえる映画だということで観ていただけたらなと思います。絶対に心に傷跡を残します(笑)。

上埜:そうですね、アイドル映画だったり闘う映画だったりして、男性的な映画なのかなって思われがちなんですけど、けっこう女性の繊細な心の動きとか、女の子たちの気持ちとかも細かく描かれている作品ですし、観ていて最後には救いのある映画なので、私は特に女性に観てほしいと思っています。

―― どうもありがとうございました。

一同:ありがとうございました!!

インタビュー写真

劇中の衣裳そのまま(※白塗りメイクはなし)のノーメイクスの3人=上埜すみれさん(左)、神門実里さん(中央)、柳杏奈さん(右)。ルックス同様に取材時のコメントひとつひとつにも個性があふれる3人。スクリーンやステージで活躍するノーメイクスの姿をぜひ一度ご覧ください。

※画像をクリックすると拡大表示されます。

(2018年2月7日/都内にて収録)

作品スチール

ゴーストスクワッド

  • 監督:井口昇
  • 出演:ノーメイクス(神門実里 洪潤梨 上埜すみれ 柳杏奈) ほか

2018年3月3日(土)よりアップリンク渋谷ほか全国順次ロードショー

『ゴーストスクワッド』の詳しい作品情報はこちら!

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