舞台あいさつをおこなった井口昇監督、ノーメイクス(柳杏奈さん、上埜すみれさん、神門実里さん)、洪潤梨(ほん・ゆに)さん、なべやかんさん、阿部亮平さん(左より)
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井口昇監督が自らプロデュースする女優アイドルグループ・ノーメイクスを主演に殺人事件被害者の哀しみを描いた青春ホラー『ゴーストスクワッド』が3月3日に渋谷アップリンクで初日を迎え、ノーメイクスら出演者と井口監督が舞台あいさつをおこないました。
2016年に公開された『キネマ純情』に続くノーメイクス主演映画第2作となる『ゴーストスクワッド』は、理不尽に殺された3人の少女の幽霊3人とひとりの霊感少女が「幽霊復讐部隊=ゴーストスクワッド」を結成し、犯罪者たちに復讐するというストーリー。劇中で描かれる犯罪は過去に実際にあった事件をモデルにしており、その内容ゆえに井口監督があえてインディーズというフィールドで制作した作品となっています。
井口昇監督は「ぼくはノーメイクスというグループをですね、3年前にオーディションで選んだんですけど、(主演第1弾の)『キネマ純情』という作品をやり、そして第2弾がこうやって公開され、念願の企画だったのでほんとに嬉しく思います。こんなにたくさんのお客さまに来ていただいて、ほんと感謝です。ありがとうございます」と初日を迎えた心境を語りました。
ノーメイクスは幽霊や霊感少女という変わった役に挑んでおり、霊感少女のリカを演じた柳杏奈さんはメンバーの中で唯一生きている人間役に「難しかったですね」。3人の幽霊に操られたリカが、なべやかんさんが演じる殺人犯と格闘するシーンについて「みんなで殴るところと、幽霊なので(周りの3人が)見えないのでひとりで殴らなくてはいけないところがあって、あそこがすごく大変だったんですけど」と撮影の苦労を語り「なべさんがうまくアシストしてくれました」と振り返りました。
手がハンマー化する幽霊のケイコを演じた上埜すみれさんは、やはりなべさんが演じる殺人犯の股間をハンマーとなった手で殴るという復讐シーンを「楽しかったです。一番やっていて楽しかったシーンと言っても過言ではない」と語り「(撮影のときは)怖くて聞けなかったんですけど、ほんとに痛かったんじゃないかなって、ちょっと後悔しています」となべさんに質問。股間に防具を付けて撮影に臨んでいたというなべやかんさんは「ああいうことをされて喜ぶ人の気持ちがわかりました」と答え、客席からは笑いが。
犬と一体化した幽霊のアカリを演じた神門実里さんは「(犬の)パンくんと私の顔もなんか似ていて、ほんとに犬になった気分でずっとやっていました。(撮影の)のちほどアフレコで犬の声も全部やって、それで酸欠気味でちょっと大変だったなって(笑)」と「犬役」ならではのエピソードを紹介。また、仇である殺人犯を演じた阿部亮平さんが撮影中の楽屋などでは「メチャクチャ優しくしてくださるので」と明かし、役の上では憎まなくてはならないため「なるべく喋らないようにしようと思ったんですけど(阿部さんが)“このお菓子おいしいね”とか(笑)。どうしようと思いながら過ごしていました(笑)」と、意外な苦労があったことを紹介。
『仁義なき戦い』シリーズで言うと「大友勝利、千葉真一さんがやった役みたいな」(井口監督談)という関西弁の幽霊・ヨシエを演じた洪潤梨さんは、そのキャラクターにもかかわらず劇中で生前の恋人との切ないシーンを演じており「これからするかもしれないけど、あれくらい人を想うみたいな経験をできないかもしれないじゃないですか、人生で。だから、役でもさせてもらえて、幸せだなって思いました」と感想を述べ「みんな死なないで生きていこう! ほんとに死んじゃダメって思います」と呼びかけました。
これまで「ほとんど(演じたことが)ないですね」というほど残虐な犯罪者を演じたアツシ役のなべやかんさんは「(役に)入り込もうとするんですけど、あそこまで憎たらしい奴になるのはなかなか大変で、でもそれをやるという楽しみはありましたね」と、自身としては珍しい役の感想を述べ、井口監督はなべさんを犯罪者役に起用した理由を「(殺人を犯した時代の)少年の役もできて(現在の)大人の役もできるという、それはなべさんしかいないんじゃないかなという。で、脱いだときのからだのムキムキ感のギャップ」と説明。
いくつもの殺人事件に関係する残酷非道な男・間瀬力を演じた阿部亮平さんは「殴ったり殺したり(する役を演じる)というのはよくあるんですけどね、ぼくは。まずそもそも(闘う)相手が全部女性っていうのも初めてだし、舞台あいさつに来て女性のほうが多いというのも初めてですし、だから現場でもなんか不思議な感覚でした」と女性主演の作品に参加した感覚を語り、神門さんが話した現場での優しさについても「優しくしていたつもりじゃなかったんですけど、どう接すればいいかわからなかったというのが正直なところです」と明かしました。
阿部さんは井口監督の以前の作品『スレイブメン』にも出演しており、井口監督は「『スレイブメン』でお仕事したときに、ほんとに達者な役者さんだなと思って、前回はいい人の役も悪い人の役もやっていただいたんですけど(※場面により性格設定が変わる役)、今回は徹した悪役というか、悪役に魅力がないと映画って面白くなんないので、阿部さんといえば悪の魅力を出せるんじゃないかなと思ってやっていただいて、もうドンピシャ」と阿部さんの悪役に満足気な様子。井口監督はさらにノーメイクスのメンバーも「あれヤバい」という間瀬が優しさを垣間見せるシーンについて「リアリズムを突きたかったんですよ」と意図を説明しました。
井口監督は「この映画は長年の企画だったので、4年以上前からこういう内容をやりたいと思って、凶悪事件の被害者を弔うような映画を1回やりたいと思っていたので、それがこういうかたちで実現できてほんとに嬉しく思いますし、この作品が多くの方に観ていただきたいと思いますので、みなさま、口コミをよかったらご協力ください」と、作品への想いを述べるとともに応援を呼びかけて舞台あいさつを締めくくりました。
凶悪犯罪への哀しみや憤りが込められた社会派作品であるとともに、アクションや百合要素も盛り込まれたエンターテイメント性の高い作品にもなっている『ゴーストスクワッド』は、舞台あいさつ登壇者のほかノーメイクスの元リーダー・中村朝佳さんや、中村瑠美衣さん、井口監督作品ではお馴染みの島津健太郎さんらが出演。3月3日(土)より渋谷アップリンクほか順次公開され、アップリンクでは公開期間中にさまざまなイベントの開催も予定されています。