ユリ子(江口のりこ)はアロマセラピスト。匂いの感覚が人一倍優れたユリ子のアロマと、やさしい指使いのマッサージは、疲れを癒してくれるとアヤメ(原紗央莉)たち常連客にも好評だ。
ある日、ユリ子の働くアロマサロンに、サロンには似つかわしくない坊主頭の高校生・徹也(染谷将太)が現われた。徹也はサロンのオーナー(美保純)の甥っ子で、オーナーが誕生日プレゼントとして店に招待したのだ。剣道部の練習のあとシャワーも浴びずに店にやってきた徹也の汗の匂いに、ユリ子はどうしようもなく惹かれてしまう。そして徹也がオーナーにマッサージを受けている間、我慢しきれずに徹也の荷物の中から剣道の籠手を取り出すと、そのすえた匂いを堪能するのだった。
そのまま徹也の籠手を持ち帰ってしまったユリ子は、翌日、徹也の学校を訪れた。下校する徹也の姿を見かけたユリ子はそのあとをつけると、道草して居眠りしている徹也の頭の匂いを嗅ぎ、ついには舌で舐めまわす。驚いて目を覚ました徹也にひたすら謝ると、ユリ子はその場を逃げ出した。
徹也は徹也で、気になっていた女の子が同じ剣道部の同級生と付き合うことになったりで、なにか悶々とした気持ちを抱えていた。そして徹也はユリ子に連絡をとると切り出した。「昨日の続き、やってもらってもいいっすか?」。
こうして奇妙な逢瀬を重ねるようになったユリ子と徹也。一方、ユリ子にアロマの個人レッスンを依頼したアヤメは肌も露わにユリ子に迫る。
やがて徹也の同級生たちも巻き込んで、事態は意外な方向に進むことになる……。
ユリ子のアロマ
監督:吉田浩太
出演:江口のりこ 染谷将太 原紗央莉 ほか
2010年5月8日(土)より渋谷ユーロスペースにてレイトショー
2010年/カラー/HDCAM/16:9/ステレオ/74分
香りとマッサージで人を癒すアロマセラピストのユリ子。ある日、剣道部の高校生・徹也と出会ったユリ子は、そのすえた汗の匂いにどうしようもなく惹かれてしまう。そして始まるユリ子と徹也の奇妙な関係――。
『ユリ子のアロマ』は、人とちょっと変わった嗜好を持った女性を主人公にした、エッチでおかしくて、そしてほろ苦い異色作。エロスとユーモラスが融合した、これがエロモラス・ムービーだ!
監督は吉田浩太。助監督やテレビドラマの演出をつとめつつ自身の作品を制作し、中編『お姉ちゃん、弟といく』で2008年ゆうばり国際ファンタスティック映画祭オフシアター部門審査員特別賞を受賞。各方面から期待を集めるが、その矢先に若年性脳梗塞と脳動脈瘤という病魔に襲われた。『ユリ子のアロマ』は、大手術と1年におよぶリハビリを経ての復帰第1作となる。
ユリ子を演じるのは『お姉ちゃん、弟といく』に続いての吉田作品主演となる江口のりこ。色気を感じさせつつもどこかサバサバした雰囲気を漂わす江口ならではの持ち味が、存分に発揮されている。
そして、剣道少年の徹也役で『パンドラの匣』主演で注目を集めた染谷将太が、悶々とした思いを抱える男子高校生の青さを見事に表現。また、アダルト界から映画・ドラマやバラエティと幅広く活躍する原紗央莉が、ユリ子の常連客・アヤメ役で妖しい魅力を見せる。そのほか、グラビアなどでも活躍する木嶋のりこ、ベテランの美保純ら、共演陣の放つ存在感にも注目だ。
“寸止めエッチ”と称される吉田監督独特のタッチで描かれる『ユリ子のアロマ』。それはヘンタイをエンターテイメントとして昇華させた作品であると同時に、自ら選んだ道を進む女性の物語でもある。
- 江口のりこ
- 染谷将太
- 原紗央莉
- 木嶋のりこ
- 笠井しげ
- 外間勝
- 鈴木ゆか
- 金子ゆい
- 美保純
- 監督・脚本:吉田浩太
- 製作:後藤剛/小林洋一/日下部孝一/日下部圭子/多井久晃
- プロデューサー:後藤剛/日下部孝一/日下部圭子
- 撮影:南秋寿
- 照明:渡辺大介
- 録音:島津未来介
- 美術:佐々木健一
- 編集:青木勝紀
- スタイリスト:新崎みのり
- メイク:前田美沙子
- 助監督:豊川裕史
- 制作主任:奥田順一
- ラインプロデューサー:廣田孝
- 音楽協力:nkkr/戸村正芳
- 楽曲提供:池永正二
- 挿入曲:あらかじめ決められた恋人たちへ「Calling」/SPEED RIDER「GALAXY」/池永正二「ツギ」
- エンディング曲:シグナレス「星の唄」
- 制作:シャイカー
- 製作:シャイカー/エースデュース/ゼアリズエンタープライズ/マコトヤ/ワコー
- 配給:ゼアリズエンタープライズ
- 配給協力:マコトヤ