10月22日に開幕した第18回東京国際映画祭（T!FF）が30日に閉幕しました。渋谷Bunkamuraオーチャードホールで開催されたクロージング・イベントではコンペティション部門各賞が発表され、日本から出品された『雪に願うこと』が最優秀主演男優賞（佐藤浩市さん）、最優秀監督賞（根岸吉太郎監督）、そして最優秀作品賞にあたる東京サクラグランプリの３賞を受賞。さらに観客の投票によって選ばれる観客賞にも選ばれ、４冠を達成しました。
　佐藤浩市さんは「ぼくの受賞は想定外です。正直言いまして、ぼくのこの映画でのロール（役割）は、あくまで主役の伊勢谷（友介）くんをサポートする立場です。ぼく自身の演技云々というよりは、この映画の持っている触感といいますか観客との距離の近さといったものが、ぼくにこの賞を獲らせてくれたんだと思います」と最優秀主演男優賞受賞の感想を述べ、根岸吉太郎監督は「日本の家族というものをこの映画で見つめなおしてみたいと思いました。家族を描くというのは日本映画のひとつの伝統です。今まで日本映画を支えてきた先達たちにこの映画をオマージュとして捧げたいと思っています」と最優秀監督賞、東京サクラグランプリダブル受賞の喜びを語りました。
　『雪に願うこと』は北海道の競馬場を舞台とした作品。佐藤さん、根岸監督とも映画の撮影に協力した帯広の方々への感謝の言葉を口にし、根岸監督は「この喜びを帯広の馬たちに、一刻も早くにんじんを持って分かち合いに行きたいと思います」と笑みを見せていました。

写真：最優秀主演男優賞を受賞、壇上であいさつをする佐藤浩市さん

『雪に願うこと』で最優秀監督賞と東京サクラグランプリを獲得した根岸吉太郎監督

コンペティション部門各賞受賞者（前列）と国際審査委員のみなさん（後列）

　審査委員長をつとめた張芸謀（チャン・イーモウ）監督は「受賞した全作品が審査員の満場一致で決まりました。審査員のみなさんにお礼申し上げたいと思います。受賞したみなさん、作品、映画祭に対しておめでとうございます。この映画祭は大成功でした」と総評を述べ、「来年また東京でお会いしましょう」という角川歴彦チェアマンのあいさつで９日間にわたった第18回T!FFは幕を閉じました。