小中和哉監督の自伝的映画で全国順次公開中の『Single8』が韓国で開催される富川国際ファンタスティック映画祭で正式上映され、小中監督は同映画祭にコンペティション部門審査員としても参加。また8月8日新文芸坐での東京凱旋上映が決定しました。
『Single8』は、SF・ファンタジーの名手で「平成ウルトラマンシリーズ」を支えてきた監督としても知られる小中和哉監督が、自らの高校時代をもとにオリジナル脚本を執筆した青春グラフィティ。1978年の夏を舞台に、当時日本で公開された『スター・ウォーズ』に影響された映画好きの高校生・広志が、友人たちと8mmでの特撮映画作りに奮闘する姿が描かれていきます。
主演作公開が続く若手俳優の上村侑さんが小中監督の分身といえる主人公・広志を演じるのをはじめ、広志の映画のヒロインをつとめる同級生の夏美をやはり出演作が続々と公開される髙石あかりさん、広志の親友・喜男をダンス&ボーカルグループ・WATWING(ワトウィン)のメンバー・福澤希空(ふくざわ・のあ)さん、映画作りを手伝う同級生の佐々木を同じくWATWINGの桑山隆太さんと、日本エンターテイメント界注目の若手キャストが出演しています。
『Single8』メインスチール。左より、福澤希空さん演じる喜男、上村侑さん演じる主人公・広志、桑山隆太さん演じる佐々木、髙石あかりさん演じる夏美
日本では3月18日に東京・渋谷のユーロスペースで公開されたのを皮切りに全国各地での公開が続いている『Single8』は海外の映画祭での上映・出品も続々と決まっており、まもなく開催の第27回富川(プチョン)国際ファンタスティック映画祭で正式上映されます。
韓国の富川市で開催される富川国際ファンタスティック映画祭は1997年にスタートし、現在ではアジアを代表するジャンル映画の映画祭として確固たる地位を確立しています。
第27回となる今年は6月29日から7月9日までの11日間にわたり開催。
『Single8』は、多くの評価を得ている監督の新作を上映する「Mad MaxX」部門に選出されており「平成ウルトラマンシリーズの父親」による「実際に経験したことがなくても懐かしい思い出を与えてくれる」作品として紹介されています。
上映は6月30日と7月5日の2回おこなわれ、7月5日は『Single8』で主人公たちが作る劇中映画のモデルとなった小中監督高校時代の8mm作品『Turn Point 10:40』(1979年)が同時上映されます。
なお、同部門には日本からほかに『探偵マリコの生涯で一番悲惨な日』(2022年/内田英治監督・片山慎三監督)も選出されています。
さらに、小中監督は同映画祭のコンペディション部門にあたる「プチョン・チョイス」部門の審査員をつとめます。
これまで日本映画界で活躍する監督では原田眞人監督(2022年)、金子修介監督(2019年)、高橋洋監督(2018年)、廣木隆一監督(2012年)、高橋伴明監督(2010年)らがつとめた同部門の審査員。今回、小中監督は「アジアでも絶大な人気を誇る平成ウルトラマンシリーズを確立した功績」が評価され審査員に推薦されており、日本でも人気となったドラマ「愛の不時着」などに出演する実力派女優のキム・ソニョンさんらとともに審査にあたります。
富川国際ファンタスティック映画祭だけでなく、マレーシアで開催される第6回マレーシア国際映画祭、ニューヨークで開催される北米最大の日本映画祭・第16回ジャパン・カッツにも『Single8』の出品が決定しています。
そして、タイトルの「8」にちなんだ8月8日の「8揃い」の日に、池袋の新文芸坐で『Single8』が東京凱旋上映されることが決定しました。当日は上映に加えて喜男役の福澤希空さんと佐々木役の桑山隆太さん、小中監督が出演してのトークショーもおこなわれる予定です。
小中監督の初劇場公開作品『星空のむこうの国』(1986年)は、新文芸坐の前身である映画館・文芸坐と小中監督の共同製作した作品で、また旧・文芸坐に併設されていた小劇場の文芸坐ル・ピリエで小中監督の作品が何度も上映されるなど、旧・文芸坐は小中監督の映画監督としてのキャリアに欠かせない、原点のひとつと言える映画館。
その文芸坐の名前を継ぎ、同じ場所に建つ新文芸坐での『Single8』上映は、各地での上映や海外の映画祭出品を経ての東京凱旋であると同時に、小中監督の原点への凱旋であるとも言えます。
新文芸坐は定員276名で、これまでの『Single8』都内上映よりも大きなスクリーンでの上映となるのも見逃せないポイントです。
詳しい上映時間やチケット販売予定は、今後『Single8』公式サイトや新文芸坐公式サイトで告知予定となっています。
全国各地での劇場公開も、大分県、群馬県、新潟県、主演・上村侑さんの出身地・鹿児島県での上映が決定しています。
まだまだ海外でも国内でも止まらずに走り続ける『Single8』。高校生たちが映画作りに没頭した1978年の夏を、2023年の夏にスクリーンで体験しましょう!